教員採用試験対策

 [必勝学習法]

   教育原理…………茨城大学助教授 新井 孝喜

   教育法規…………青山学院大学教授 笹森  健

   教育史 …………立正大学助教授 樋口 直宏

   一般教養…………NSK教採ネット代表 新藤 智

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□教育原理 必勝学習法□ 

茨城大学助教授   新 井 孝 喜 

(1) 講義で使ったテキスト,ノート・資料を用意する。これをまずは読み直すことから手をつける。一度は見たはずのものだから,思い出すかもしれないし,また,学年があがる(あるいは社会経験,教職経験を積む)ことで,新しい理解があるかもしれない。
(2) しかし,大学教員の講義が必ずしも必要な内容をすべてカバーしているとは限らないので,サブノートのようなものを複数用意する。これは,2種類以上のものを使えば,かなり広い範囲をカバーできるため。それに,重なっているところは重要なところだというのがわかるはず。あきるのを防止することにもなるので,同じものを繰り返しというよりは,効果がある。
(3) 自分でノートをつくる。例えば,大学で使ったテキスト,そして購入したサブノートで,重複している部分を自分なりにまとめてみる。特に,年表のように流れや関係をつかめるようにまとめることが,忘れにくくする。
(4) 余力があれば,原典にあたること。これは,特に現場経験を持たない学生にとっては,教育観を磨く大切な方法の一つになる。人名,書名の丸暗記だけでは答えられない問題もあるかもしれないし,少なくとも,その人物・書物,できごと等について小論文が書けるくらいには理解しておいてほしい。それは,最近はますます重要度が増している小論文や面接の対策にもなる。その意味では,これが「教育原理」,「教育法規」,「小論文」の勉強だといった分断した学び方はしないようにする。当たり前だが,問題はそのように分かれて出されるのではないので。

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□教育法規 必勝学習法□ 

青山学院大学教授   笹 森  健 

 教育法規は教員採用選考試験では最も出題が多く,確実に勉強しておきたい重要な科目である。そこで,効率的な勉強法を以下に示そう。
 第一は基本規定を確実に学習すること。過去10年間の出題箇所を見ると,次の箇所が毎年多く出題されており,これらを確実にマスターすることである。憲法26条,学校教育法11条,教育公務員特例法19条,20条,20条の2,教育基本法1条,6条,地方公務員法30条〜37条が最も重要で,多く出題されていると集約できよう。
 第二は,関連条文を学習すること。例えば,就学義務については憲法26条―教育基本法4条―学校教育法22条・25条を一括して学習すること。また,「全体の奉仕者」が規定されている箇所は憲法15条―教育基本法6条―地方公務員法30条の3箇所であり,どのように規定されているかを確かめれば容易に理解できる。
 第三は,関連事項を一纏めにして学習すること。例えば,教員に関しては基礎資格,採用選考・採用の手順,条件付き採用と臨時的任用,研修(初任者研修を含む),服務分限,保護規定を纏めて学習すれば理解が早く容易にできる。
 第四は,新聞などに出ている教育関連事項について,教育法規の側面から考えていく習慣をつけることである。
 以上,効率的な学習法を試してはどうかな。

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□教育史 必勝学習法□ 

立正大学助教授   樋口 直宏 

 教員採用試験のための教育史の学習を始めるにあたっては、まず歴史の全体的な流れをつかむことが出発点となるでしょう。大学で教育史を受講した方はそのテキストや資料を活用すればよいでしょうし、初学者は『教職教養サブノート』(協同出版)などを活用しながら、文章を一通り読んでおくことが必要です。また、通史とも関連づけながら学習すると理解の手助けになるので、高校の世界史および日本史の教科書を常に参照するとよいでしょう。これらは、一般教養の対策にもなるはずです。
 次に、人名−年代−事項(著作)を整理します。自分でノートやカードを作ることは、事項の暗記にも役立ちます。また『これだけは暗記しとこう 教育史』(一ツ橋書店)は、覚えるべき項目が簡潔な説明とともに網羅されており、さらに一問一答式の問題で定着を図ることも可能になっています。この一冊をマスターすれば、教員採用試験対策としては十分といえるでしょう。
 具体的には、外国教育史では近代以降の西洋教育史、すなわちコメニウスから始まり、ロック、ルソー、カント、ペスタロッチ、ヘルバルト、フレーベル、デューイといった人物を、はじめに理解しなければなりません。これらを軸にして、19〜20世紀にかけての教育思想史や欧米の公教育制度の発展へと学習を進めていくとよいでしょう。また日本教育史では、近代以前については、平安時代の別曹、江戸時代の儒学(朱子学、陽明学、古学)、国学、藩校、私塾等は正確に理解していなければなりません。また明治以降については、教育令および学校令の改正を整理しながら、学校制度の変遷や人物を関連づけていくとよいでしょう。大正自由教育の主導者や八大教育主張についても必須項目です。さらに戦後については、主要教育法の制定年と理念、および学習指導要領の変遷をまとめると学習がしやすくなります。
 これらの整理が終われば、あとは学習の繰り返しです。大切なのは一度で覚えようとせず、同じノートや問題集を何度もやってみることです。逆に完全には覚えていなくても、別のテキストをやってみることも、違った角度から学習の助けになるでしょう。また、時には原典に触れてみることも役立ちます。上記であげた思想家の教育論は比較的読みやすく、しかも現代の私たちにも多くのことを考えさせてくれるとともに、人名−著作の理解が容易になるのではないでしょうか。
 歴史を知っていても現在の教育には役立たないと考えている人もいるようですが、そんなことはありません。私たちが悩んでいる課題を先人たちはどう乗り越えていったのかという観点から取り組むと、教育史はもっと身近に思えてくるはずです。みなさんのご健闘をお祈りします。

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□一般教養 必勝学習法□ 

NSK教採ネット代表 / 元「教職課程」編集長   新藤 智

 教員採用試験の一般教養にはいくつかの特徴があります。その一つは,非常に"教科書的"な問題が多いという事です。国語・数学・理科・社会の中学校及び高校受験レベルの問題が中心で,民間企業の一般常識などに比べると,勉強方法がはっきりしています。そして,満遍なく各分野から出題されるということです。得意分野で得点を稼いで,苦手分野は捨ててしまうと,とても合格点には到達できません。なんとか,苦手分野を克服することです。
 また,時事問題の増加やローカル問題(ご当地問題)の増加も最近の傾向です。
 勉強法のポイントは,練習問題を数多くこなすことと苦手分野の克服に努めることです。比較的時間のある10月から1月ころまでは,苦手克服期間として,高校受験用の重要ポイント集などを購入して知識の整理をしましょう。そして,基本的な問題を解いていきましょう。この時期に難問に挑戦すると,自信がなくなり勉強が進まなくなってしまいます。2月ころから実戦的な勉強に変えていきます。そのためには,受験県の傾向を調べましょう。人文・社会・自然のどの分野の出題率が高いのか,時事問題やローカル問題は出ているか,回答方法は記述か選択か,何問を何分で解かなければならないか,等です。実戦的な対策は,問題をどのくらい多く解くかがポイントですが,傾向をはずれては何にもなりません。
 傾向を把握した上で,傾向に合った問題練習をしていきます。教員試験用の問題集だけでなく,中学生用の問題集や就職用の一般常識問題集なども効率よく利用しましょう。また,時事用語集や統計資料なども手元に揃えておきたいものです。
 そして,一般教養は自分の本当の実力が客観的にわかりにくい科目です。模擬試験や添削などは意外な効果を生む方法です。しかし,範囲の広い一般教養ですから,どんな方法にしてもなるべく早く始めることが合否の分かれ道になります。


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